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古家付き土地は「家」として売る?それとも「土地」として売る?売却方法で変わる考え方

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古家付き土地は「家」として売る?それとも「土地」として売る?売却方法で変わる考え方

古家付き土地は「家」として売る?それとも「土地」として売る?売却方法で変わる考え方

2026/09/24

はじめに

築年数が経過した戸建てを売却するとき、「中古住宅として売った方がいいのか、それとも土地として売った方がいいのか」という問題があります。建物はまだ残っているものの、築30年、40年、50年と経過し、設備や内装にも古さが目立つようになると、所有者自身もその家にどの程度の価値があるのか判断しにくくなります。「こんなに古い家なら建物には価値がないだろう」と考える人もいれば、「まだ住めるのだから壊すのはもったいない」と感じる人もいるでしょう。

不動産広告でも、「中古戸建」「古家付き土地」「売地・現況古家あり」といった異なる表現を見かけます。同じように古い住宅が建っている不動産でも、どのような物件として市場へ出すかによって、買主が受ける印象や検討する人の層は変わります。さらに、建物を残して売るのか、売主が先に解体して更地にするのかによって、売却前に必要となる費用や契約時に確認すべき事項も変わってきます。

特に注意したいのは、「築年数が古い=土地として売るのが正解」「更地にすれば必ず高く売れる」と単純には決められないことです。建物が古くてもリフォームして利用したい買主がいるかもしれませんし、反対に建物の状態が悪く、購入後すぐに解体することを前提とする買主が中心になることもあります。また、土地としての需要が高い地域なのか、既存住宅としての需要が期待できる地域なのかによっても判断は異なります。

古家付き不動産の売却では、「建物が古いかどうか」だけではなく、その建物を残す価値と、土地として見たときの価値を分けて考えることが重要です。

この記事では、古家付き土地を「家」として売る場合と「土地」として売る場合の違いを整理しながら、建物を残すメリット、解体するメリット、価格への影響、買主の見方、契約時の注意点まで詳しく解説します。売却前に解体するか迷っている方にとっても、「とりあえず壊す」「とりあえずそのまま売る」ではなく、物件ごとに適した売却方法を考えるための材料にしていただければと思います。

 

 

 

 

 

第1章:古家付き土地を「家」として売るか「土地」として売るか

 

1-1. 建物が残っていても「土地」として売ることはある

住宅が建っている不動産だからといって、必ず中古戸建として販売しなければならないわけではありません。築年数がかなり経過し、建物そのものの商品価値より土地の価値を中心に考える物件では、「古家付き土地」などとして販売されることがあります。建物は現実に存在していますが、販売上は土地利用を中心に考えてもらうという方法です。

たとえば、築50年の木造住宅が建っており、長期間空き家になっている物件を考えてみます。屋根、外壁、水回り、給排水管、電気設備などに相当な修繕が必要で、現代の生活に合わせるには大規模な改修が必要になるとします。このような住宅を一般的な中古住宅と同じ感覚で販売すると、買主から「購入後にどの程度修理費がかかるのか分からない」という不安を持たれやすくなります。

一方、その場所が住宅用地として一定の需要があり、買主が既存建物を解体して新築する可能性が高いのであれば、最初から土地を中心として販売した方が物件の性格を伝えやすい場合があります。ただし、「古家付き土地」と表示すれば建物について何も説明しなくてよいわけではありません。現存する建物の状況や登記、増築の有無、越境、残置物など、売却前に確認しておくべき事項は残ります。

建物が存在することと、その不動産を市場で「住宅」として評価することは、必ずしも同じではありません。

そのため、古家付き不動産では最初に「家として売れるか」「土地として評価した方が市場に合っているか」という二つの視点を持つことが重要です。所有者の感覚だけで決めるのではなく、建物の状態、土地価格、周辺の成約傾向、想定される買主層などを確認しながら判断していきます。

 

1-2. 築年数だけで建物の価値は決められない

「築30年を超えたら建物価値はゼロ」「木造住宅は古くなれば土地値だけになる」といった言い方を耳にすることがあります。しかし、不動産の売却では築年数だけで建物の利用価値を判断することはできません。同じ築40年の住宅でも、定期的に修繕されてきた家と、長期間ほとんど手入れされていない家では状態が大きく異なります。

屋根や外壁の修繕、給湯器の交換、水回りの更新、シロアリ対策、耐震改修などが行われていれば、築年数が古くても利用を検討できることがあります。また、建物の間取りや施工状態、基礎、雨漏りの有無なども重要です。反対に築年数が比較的新しくても、長期間の漏水や構造部分の劣化などがあれば、大規模な修繕が必要になる可能性があります。

また、買主の価値観も以前より多様です。新築住宅だけを希望する人がいる一方で、古い住宅を購入して自分好みにリノベーションしたい人もいます。既存の梁や柱、庭、建具などに魅力を感じる買主もいます。そのため、売主が「こんな古い家は誰も使わないだろう」と考えて解体した結果、建物を活用したかった買主へ届く可能性を失うことも考えられます。

建物の価値を判断するときは、「築何年か」だけではなく、「現在どのような状態で、これからどの程度利用できるのか」という視点が欠かせません。

もちろん、建物が使えるからといって必ず高い価格を付けられるわけではありません。建物の状態と市場で認められる価格は別の問題です。まず利用可能性を確認し、そのうえで周辺の中古住宅価格や土地価格と比較することが必要になります。

 

1-3. 「中古戸建」と「古家付き土地」では買主層が変わる

中古戸建として物件を探している人は、基本的には購入した建物を利用することを想定しています。多少のリフォームは行うとしても、既存住宅を活用することが前提です。そのため、建物の間取り、室内状態、設備、駐車場、耐震性、修繕履歴などへの関心が高くなります。

これに対して土地を探している買主は、建物よりも敷地そのものを重視します。土地面積、道路との接道状況、間口、形状、高低差、用途地域、建ぺい率・容積率、上下水道、造成の必要性などが重要になります。古家が残っていても、最終的には解体して新築する前提で検討する人も少なくありません。

つまり同じ不動産でも、販売方法によって物件を見る人の視点が変わります。中古戸建として広告すれば「この家に住めるか」という視点で見られ、古家付き土地として広告すれば「ここにどのような建物を建てられるか」という視点で見られやすくなります。どちらが正しいというより、物件の特性に合った市場へ届けることが重要です。

古家付き不動産では、販売価格だけでなく「誰に買ってもらう物件なのか」を決めることが、売却方法を考える出発点になります。

場合によっては、中古戸建としての可能性と土地としての可能性を完全にどちらか一方へ絞り込まず、両方の需要を意識した販売方法を検討することもあります。ただし広告表示や契約条件については、建物をどのような位置付けで扱うのかを曖昧にしないことが重要です。

1-4. まず「建物を残した状態」で査定する意味

古い家を売却するとき、査定を受ける前に解体業者へ見積もりを取り、そのまま解体してしまうケースがあります。しかし、売却が目的であれば、先に不動産としての評価を確認する方が判断しやすくなります。建物を壊すことはできますが、一度壊した建物を元へ戻すことはできないからです。

建物が残っていれば、中古住宅として利用できる可能性、リフォーム素材としての可能性、土地として販売する可能性を比較できます。さらに解体見積もりを取得すれば、「現況のまま売る場合」と「解体費を負担して更地にする場合」の収支も比較できます。この順番で検討すると、所有者は選択肢を残した状態で判断できます。

また、建物を解体するときには、単に建物本体だけを撤去すれば終わるとは限りません。ブロック塀、庭石、樹木、物置、井戸、浄化槽、基礎などの撤去が必要になることがあります。敷地条件によって重機が入りにくければ工事費が上がる可能性もあります。そのため、概算だけで判断せず、実際の敷地を確認した解体見積もりを取得することが重要です。

売却のために古家を壊すのであれば、「古いから解体する」のではなく、建物を残した場合と解体した場合の両方を比較してから決める方が合理的です。

特に相続した実家などでは、所有者自身が現在の住宅状態を十分把握していないことがあります。まず建物と土地を確認し、不動産としてどのような売却方法が考えられるか整理したうえで、必要なら解体という順番で進めると判断しやすくなります。

 

 

 

 

 

第2章:古家を残して売るか、解体して更地にするか

 

2-1. 古家付きのまま売る最大の利点は「先に費用を出さなくてよい」こと

古家付きのまま売却する大きな利点の一つは、売主が売却前に解体費用を負担しなくて済むことです。建物の規模や構造、敷地条件、残置物、アスベストの有無などによって解体費は大きく変わるため、売却前にまとまった資金が必要になる場合があります。

特に相続した不動産では、所有者がその住宅に住んでおらず、「売却するためだけに多額の費用を先に支払うことには抵抗がある」というケースもあります。古家付きのまま販売できれば、購入者が決まる前に解体資金を用意する必要はありません。

また、建物を残しておくことで、買主の選択肢を広く保てる場合があります。建物を利用したい買主ならリフォームを検討できますし、土地として使いたい買主なら購入後に解体することができます。売主が先に更地へしてしまえば、「この建物を利用したい」という選択肢はなくなります。

古家付きでの売却は、売主が解体費を先行負担せず、建物を利用する買主と土地として利用する買主の双方へ可能性を残せる方法です。

ただし、買主が解体を前提としている場合、その解体費用を考慮して購入価格を検討することがあります。そのため、「売主が解体費を払わなくてよい=その分だけ必ず得をする」という意味ではありません。売却価格と解体費用を合わせて比較する必要があります。

 

2-2. 更地にすると買主が土地をイメージしやすくなる

古家を解体して更地にすると、買主は敷地全体を確認しやすくなります。建物がある状態では見えにくかった土地の形、高低差、奥行き、境界周辺などが分かりやすくなり、新築住宅の配置も想像しやすくなります。

特に古家が敷地の大部分を占めている場合、土地を探している買主にとっては建物があることで土地の広さを実感しにくいことがあります。室内の古さが強いと、本来は土地を探している買主であっても物件全体に古い印象を持つことがあります。更地になることで、土地そのものへ意識を向けてもらいやすくなる点はメリットです。

一方、更地にすれば必ず早く売れるわけではありません。解体費を価格へそのまま上乗せできる保証もありませんし、土地としての需要が弱い地域では、建物を壊したことが販売期間の短縮につながらない可能性もあります。さらに、既存建物がなくなることで、住宅として利用したかった買主層は対象から外れます。

更地化のメリットは「高く売れること」そのものではなく、土地として検討する買主に物件の状態や利用イメージを伝えやすくなることにあります。

そのため、更地化を判断するときには、周辺でどのような物件が売れているかを確認します。中古戸建の需要があるのか、新築用地の需要が強いのか、土地を購入する住宅会社や建売業者が動いている地域なのかによっても判断は変わります。

 

2-3. 解体前に確認したい「再建築できる土地なのか」

古家を解体する前に特に重要なのが、現在の建物を壊した後、新しい建物を建築できる土地なのかという確認です。現在住宅が建っているからといって、同じような住宅を当然に再建築できるとは限りません。

建築基準法上の道路への接道状況、接道幅、道路種別、市街化調整区域などの土地利用規制、敷地形状、既存建物が建築された時期や経緯などによって、再建築の条件が変わる場合があります。古い住宅の中には、現在の法令上の基準と照らすと建替えに注意が必要なものもあります。

仮に再建築が難しい土地であれば、利用可能な既存建物を先に取り壊すことが物件価値へ大きく影響する可能性があります。そのため、売却目的で解体を考える場合には、解体業者へ依頼する前に不動産会社や自治体の建築関係窓口などで法令上の条件を調べる必要があります。

「古い建物だから壊して更地にする」という判断の前に、その建物を壊した後に何が建てられるのかを確認することが非常に重要です。

福岡県内でも、福岡市中心部や一般的な住宅地だけでなく、郊外や市街化調整区域、古くから形成された集落などでは土地利用の条件が大きく異なります。見た目には普通の住宅地でも道路の扱いが複雑なことがあるため、物件ごとの調査が必要です。

2-4. 境界・越境・地中埋設物は建物を壊しても消えない

更地にすると物件がすっきり見えるため、売却上の問題まで減ったように感じることがあります。しかし、土地に関する問題は建物を解体しても残ります。代表的なのが境界、越境、擁壁、給排水管、地中埋設物などです。

たとえば古いブロック塀が隣地との境界付近にある場合、それを撤去したからといって境界そのものが確定するわけではありません。また、隣家の屋根や配管などが越境している場合、こちらの建物だけを解体しても越境状態は残ります。擁壁がある土地では、所有関係や構造、安全性などの確認が必要になる場合もあります。

さらに古い住宅を解体すると、地中から以前の建物の基礎、井戸、浄化槽、配管などが見つかることがあります。過去の土地利用によっては、所有者が把握していなかった構造物が存在する可能性もあります。解体工事でどこまで撤去するのか、追加工事が発生した場合にどうするのかは、事前に解体業者と確認しておくことが重要です。

更地にすることと「何も問題のない土地にすること」は同じではなく、土地そのものの調査は別に必要です。

むしろ建物を解体するタイミングは、これまで見えなかった敷地状況を確認できる機会でもあります。売却を前提に解体するのであれば、単に建物をなくすだけでなく、その後の買主への説明まで考えて工事内容や現地状況を記録しておくことが望まれます。

 

 

 

 

 

 

第3章:「家として売る」「土地として売る」で価格はどう変わるのか

 

3-1. 「土地価格+建物価格」で単純に決まるわけではない

古家付き不動産の価格を考えるとき、「土地が2,000万円、建物が300万円だから2,300万円」と単純に足し算できるとは限りません。不動産の売却価格は、土地と建物それぞれの状態だけでなく、その不動産全体を買主がどのように利用するかによって見方が変わります。

既存住宅を利用する買主にとっては、まだ使用できる建物に価値があります。購入後に500万円のリフォームで希望する住宅になるのであれば、新築住宅を購入するより総額を抑えられる可能性があります。この場合、建物は単なる「撤去対象」ではありません。

一方、新築用地を探している買主にとって古家は利用価値を持たず、むしろ解体費用が必要な存在になることがあります。同じ建物でも、ある買主には価値があり、別の買主には費用負担になるわけです。そのため、古家付き不動産では「建物価格はいくらか」という問いだけでなく、「どの買主層へ販売するか」が価格戦略に影響します。

古家は、買主によって「利用できる資産」にも「解体費が必要な建物」にもなるため、価格は土地と建物の単純な足し算だけでは決まりません。

査定では周辺の土地成約事例、中古戸建の成約事例、建物状態、解体費の概算などを比較しながら価格帯を考えます。売出価格を決める際にも、「中古戸建として見た場合」と「土地として見た場合」の両方向から検討すると、価格の根拠が分かりやすくなります。

 

3-2. 解体費をかければ、その分高く売れるとは限らない

仮に古家の解体に200万円かかったとしても、更地にしたことで売却価格が必ず200万円以上上がるとは限りません。買主が評価するのは、売主が実際に負担した工事費ではなく、その不動産をいくらで購入する価値があるかという点だからです。

一方、古家付きの状態では買主が解体費を慎重に見積もり、実際の解体相場以上に余裕を持って価格交渉することがあります。売主側で解体して費用を確定させれば、買主にとって不確定要素が一つ減るため、価格交渉がしやすくなる場合があります。

重要なのは、「解体するかどうか」だけを見るのではなく、最終的な手取りを比較することです。更地にして100万円高く売れても、解体に200万円かかれば、単純な収支では現況売却より有利とはいえません。反対に、解体によって購入希望者が増え、販売条件が改善するケースも考えられます。

売主が比較すべきなのは売却価格の高さだけではなく、「売却価格-解体等の売却費用」で残る金額と、売却しやすさの両方です。

なお、土地などを売るためにその土地上の建物を取り壊した場合、一定の取壊し費用や建物の損失額が譲渡所得計算上の譲渡費用となることがあります。税務上の扱いには具体的な条件があるため、実際の申告では税理士や税務署への確認が必要です。

 

3-3. 土地として売るなら「新築した場合」を想像して査定する

土地として販売する場合、買主がその土地にどのような住宅を建てられるのかという視点が重要です。土地面積が広くても間口が狭い、高低差が大きい、敷地形状が不整形、セットバックが必要といった条件があれば、建物配置や駐車場計画に影響します。

逆に、古い建物が建っているため分かりにくくても、解体後には十分な駐車スペースを確保できる土地や、二世帯住宅を検討できる広さの土地かもしれません。土地としての価値を判断するには、現在の建物だけを見るのではなく、「更地になったときに何ができるか」を考える必要があります。

福岡都市圏の郊外では、車を複数台所有する世帯も珍しくありません。そのため、土地の広さだけでなく、道路から駐車場へ入りやすいか、間口を確保できるかといった点が購入判断に影響することがあります。一方、公共交通機関への利便性が高い地域では、同じ評価軸になるとは限りません。

土地としての査定では、現在建っている古家よりも、「この土地を買った人が次にどのように使えるか」を考えることが重要です。

用途地域や建ぺい率・容積率だけでなく、接道、道路幅員、高低差、上下水道、擁壁なども確認し、新築時に追加費用が発生しそうな条件を把握します。こうした情報が整理されていれば、買主も土地購入後の計画を立てやすくなります。

 

3-4. 税金まで含めて「解体前・解体後」を比較する

古家を解体するかどうかを考えるときには、売却価格と解体費だけでなく税務も確認しておきたいところです。土地・建物を売却した場合の譲渡所得は、原則として売却による収入金額から取得費と譲渡費用を差し引き、適用できる特別控除があればさらに控除して計算します。建物の取得費については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算する仕組みがあります。

相続した古い実家では、「昔いくらで買ったのか分からない」ということもあります。国税庁では、取得費が分からない場合などには売却金額の5%相当額を概算取得費とすることができるとしています。また、相続によって取得した土地・建物については、原則として被相続人の取得費や取得時期を引き継いで計算します。

さらに、居住用財産の売却などでは一定の要件を満たすと特例が適用できることがあります。どの特例が利用できるかは、所有者が住んでいたのか、相続した家なのか、いつ売却するのかなどによって異なります。そのため、「更地にした方が税金が安い」「古家を残した方が必ず有利」と一律には判断できません。

解体するかどうかは不動産の売りやすさだけで決めず、解体費、想定売却価格、譲渡所得、利用できる税制特例まで含めて確認することが大切です。

特に売却前の解体は後から取り消せないため、税制特例を利用する予定がある場合には、解体前に適用要件を確認することが重要です。税制は改正される可能性があるため、売却する時点の制度を税務署や税理士などへ確認したうえで進める必要があります。

 

 

 

 

 

 

第4章:売却方法を決める前に確認したい契約・調査・トラブル予防

 

4-1. 古家付きで売るなら建物の状態を曖昧にしない

古家付き土地として販売すると、「土地として売るのだから建物について細かく確認しなくてもよい」と考えてしまうことがあります。しかし、現実には売買対象地の上に建物が存在している以上、その建物について分かっている事項を整理することが重要です。

たとえば雨漏り、シロアリ被害、傾き、給排水設備の故障、増築、未登記部分など、所有者が把握している事項があれば、売却前に整理します。土地として販売する場合でも、買主が引渡し後しばらく建物を利用する可能性がありますし、解体工事にも建物の状態が影響することがあります。

また、「古家なので一切責任を負いません」と書けばすべて解決するとは限りません。契約条件をどのように定めるかは売主・買主の属性や取引内容によって異なりますし、売主が知っていた事実をどのように説明したかも重要になります。古家だからこそ、分からないものを分かったように説明せず、確認できている事実と確認できていない事項を分けることが大切です。

古家付き土地では、建物の価値を低く見ることと、建物に関する情報を曖昧にすることは別の問題です。

長年空き家になっている場合には、所有者自身が建物の状態を把握できていないこともあります。その場合は「問題ありません」と断定するのではなく、使用状況や確認範囲を整理したうえで契約条件を検討します。

 

4-2. 解体するなら「どこまで撤去するか」を明確にする

解体工事では「家を壊してください」と依頼すれば敷地内のすべてが撤去されるとは限りません。建物本体のほかに、物置、カーポート、ブロック塀、門扉、庭木、庭石、井戸、浄化槽、地中の基礎などが存在することがあります。

売却を目的として更地にするのであれば、買主へどの状態で引き渡すのかを意識して解体範囲を決める必要があります。たとえば隣地との境界付近にあるブロック塀を撤去する場合、それが売主単独所有なのか、隣地との共有物なのか確認が必要になることがあります。確認せず撤去すれば、新たな近隣トラブルにつながる可能性があります。

また、解体中に想定外の地中埋設物が発見されることもあります。昔の基礎や浄化槽などが出てきた場合、当初の解体見積もりとは別に撤去費が必要になることがあります。解体契約を結ぶ際には、追加工事が必要になった場合の費用や連絡方法も確認しておくと安心です。

売却のための解体では、「建物がなくなった状態」ではなく、「買主へどの状態の土地を引き渡すのか」まで考えて工事範囲を決める必要があります。

工事前・工事中・工事後の写真を残しておくことも有効です。特に地中部分については更地になった後では確認できないため、どの基礎や構造物を撤去したか記録が残っていれば、後の説明材料になります。

 

4-3. 「解体渡し」という第三の方法もある

古家付きのまま売るか、先に更地へするかという二択だけで考える必要はありません。売買契約を締結した後、売主の負担で建物を解体し、更地にしてから買主へ引き渡す「解体渡し」という方法もあります。

この方法の利点は、売主が買主の決まらない段階で解体費を先行負担する必要がないことです。買主側も、最終的には更地で受け取れるため、自分で解体業者を探す負担を減らせます。土地としての需要はありそうだが、売主が先に解体することには不安がある場合に検討できる方法です。

一方、契約後に解体する以上、契約書では解体範囲や完了時期、残置物、地中埋設物、滅失登記、引渡し条件などを明確にしておく必要があります。解体中に想定外のものが見つかった場合にどうするのかも、できるだけ事前に整理しておくことが望まれます。

「現況のまま売る」「先に更地にする」だけでなく、「買主が決まってから売主が解体して引き渡す」という選択肢もあります。

ただし、すべての物件に解体渡しが適しているわけではありません。引渡しまでの期間、解体業者の手配、建物の規模、近隣環境などによって実行可能性が変わります。売主と買主双方が条件を理解したうえで契約することが重要です。

4-4. 最終的には「一番高く見える方法」ではなく物件に合う方法を選ぶ

古家付き不動産の売却方法を考えるとき、所有者としては少しでも高く、できれば早く売りたいと考えるのが自然です。しかし、「中古戸建として出せば建物価格も取れるから得」「更地なら見栄えがいいから高く売れる」といった一つの理由だけで方法を決めると、かえって売却の可能性を狭めることがあります。

まず確認するのは建物です。現在も利用できるのか、大規模修繕が必要なのか、買主がリフォームして利用する余地があるのかを見ます。次に土地としての条件を確認します。接道、形状、高低差、再建築条件、周辺の土地需要などを調べます。そのうえで解体費を把握し、それぞれの方法で想定される価格と手取りを比較します。

さらに重要なのが売却する時期です。すぐに現金化したいのか、多少時間をかけても条件を優先したいのかによっても選択肢は変わります。相続した空き家で遠方に住んでいる場合には、管理負担を早くなくしたいという事情もあるでしょう。逆に現在居住中であれば、売却後の住み替え時期との調整も必要です。

古家付き不動産の売却方法に一つの正解があるのではなく、「建物・土地・費用・市場・売主の事情」を合わせて最も現実的な方法を選ぶことが重要です。

福岡市近郊でも、駅に近い住宅地、郊外の戸建住宅地、古くからの集落、敷地の広い農村部では買主の需要が異なります。同じ築40年の家でも、場所が変われば「中古住宅として見られる物件」になることも、「新築用地として見られる物件」になることもあります。だからこそ、古家という言葉だけで売却方法を決めないことが大切です。

 

 

 

 

 

まとめ

古い住宅が建っている不動産を売却するとき、「家として売るか、土地として売るか」は多くの所有者が迷うところです。築年数が長いほど「建物にはもう価値がないのでは」と考えやすくなりますが、実際の売却では築年数だけで判断することはできません。

建物が適切に管理され、まだ利用できる状態であれば、中古住宅として購入したい人やリフォーム・リノベーションを前提として探している人へ販売できる可能性があります。一方、建物の劣化が大きく、土地としての需要が高い地域であれば、古家付き土地として販売した方が買主へ物件の性格を伝えやすいことがあります。

さらに、土地として売る場合でも、「古家を残したまま売る」「売主が先に解体する」「買主が決まった後に売主が解体して更地で引き渡す」という複数の方法があります。それぞれ売主の費用負担、買主の検討しやすさ、契約条件が異なるため、単純に一つの方法が優れているとはいえません。

特に避けたいのは、「古いから」という理由だけで売却前に建物を解体してしまうことです。

一度建物を解体すれば元には戻せません。既存住宅として利用できる可能性があるか、再建築に問題がない土地なのか、解体費はいくらなのか、土地としてどの程度の需要があるのかを確認したうえで判断することが重要です。

また、更地にしたからといって土地に関する問題がすべてなくなるわけではありません。境界、越境、擁壁、接道、上下水道、地中埋設物などは、建物の有無とは別に確認が必要です。むしろ解体によって、これまで建物の下に隠れていた基礎や井戸などが判明することもあります。

 

価格についても同様です。売主が解体費を負担したからといって、その金額をそのまま売却価格へ上乗せできるとは限りません。土地を売るために行った一定の建物取壊し費用等は譲渡所得計算上の譲渡費用となる場合がありますが、売却価格、解体費、税金などを合わせて最終的な手取りを比較する必要があります。

古い実家を相続したケースでは、取得時の資料が残っていないこともあります。相続した土地・建物の取得費や取得時期は原則として被相続人から引き継ぎ、取得費が分からない場合には概算取得費を用いる仕組みもあります。そのため、昔の売買契約書や領収書などが残っている場合には、売却前に処分せず確認しておくことも大切です。

古家付き土地の売却で大切なのは、「家か土地か」を最初から決めつけることではなく、建物を残した場合と土地として活用する場合の両方を調べてから、物件に合った売り方を選ぶことです。

 

建物には建物の状態があり、土地には土地の条件があります。そして買主にも、中古住宅を探している人、新築用地を探している人、古い住宅をリノベーションしたい人など、それぞれ異なる目的があります。売主側で物件の特徴を整理できれば、「古い家だから売りにくい」と考えるだけではなく、どの市場へ届けるべき物件なのかが見えやすくなります。

古家付き不動産は、建物が新しい物件より判断する項目が多い一方、売り方にも複数の選択肢があります。だからこそ、解体する前、価格を決める前、広告を出す前の調査が重要です。「古家だから価値がない」と決めるのでも、「まだ住めるから家として売れる」と決めるのでもなく、建物と土地をそれぞれ評価し、買主がどのように利用するかまで考えることが、納得できる売却方法を選ぶための第一歩になります。


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