家を買うとき、ご近所付き合いはどこまで気にする?住宅地で暮らすということ
2026/11/02
はじめに
家を探すとき、価格や間取り、通勤の便利さと並んで、近所にどのような人が住んでいるのかが気になることがあります。長く暮らすつもりで購入するからこそ、落ち着いた環境で生活したいという気持ちは自然なものです。子どもがいる家庭なら遊ぶ場所や通学中の見守りが気になり、静かな生活を望む人なら音や人の出入りが気になるでしょう。一方で、ご近所付き合いを意識しすぎると、何をどこまで調べればよいのか分からなくなることもあります。住宅の内見だけで、人間関係の将来まで確かめることはできません。
近隣との関係には、あいさつや地域の行事など、人との距離感に関わる面があります。それとは別に、ごみの出し方、共有する通路の管理、敷地の境界など、暮らしの条件として具体的に確認すべき面もあります。この二つを同じものとして考えると、単なる生活習慣の違いを重大な問題と受け取ったり、反対に権利や費用に関わる取り決めを「近所付き合いの話」として見落としたりしやすくなります。大切なのは、親しくなれそうかという印象だけで判断しないことです。住み始めてから日常的に接する条件を、順序立てて確認する必要があります。
また、近所との関わり方に、すべての家庭へ当てはまる正解はありません。地域の活動を楽しみたい人もいれば、あいさつを交わしながら私生活は静かに保ちたい人もいます。働く時間や健康状態、家族の事情によって、参加できる範囲が変わることもあります。どのような距離感を望む場合でも、他の人の生活や土地の使い方に配慮することは必要です。購入前に考えたいのは、近隣の人と必ず親しくなれるかではなく、その場所の生活条件や関わり方が自分たちに合っているかという点です。
売主の居住経験や地域の案内は、判断の手がかりになります。ただし、売主が快適に暮らしていたからといって、買主も同じように感じるとは限りません。人の印象やうわさと、確認できた出来事や書面上の取り決めを分けることも重要です。この記事では、住宅地で暮らす際の近隣との接点、購入前の確認、自治会などの活動、入居後の関係づくりを整理します。ご近所付き合いを必要以上に怖がらず、同時に見落としもしないための考え方を見ていきましょう。

▼目次
第1章:ご近所付き合いをどう考えるか――親しさと生活条件を分ける
第2章:購入前に確認したいこと――うわさより現地と具体的な情報を見る
第3章:地域のルールと共同の負担――加入・管理・費用を混同しない
第1章:ご近所付き合いをどう考えるか――親しさと生活条件を分ける
1-1. 自分の敷地で暮らしていても、周囲との接点はある
戸建住宅では、自分の土地と建物を所有することで、暮らしを独立させられるように感じることがあります。もちろん、室内の使い方や庭の楽しみ方を自分たちで考えられることは魅力です。しかし、音、光、におい、水の流れなどは、敷地の境界線で完全に止まるものではありません。道路への車の出入りや、工事車両の停車なども、周辺の生活と接点を持ちます。住宅を購入することは、建物の内部だけでなく、周囲とつながる環境の中で暮らすことでもあります。
例えば、庭へ照明を増やす場合、庭を明るくするという目的と、隣家の窓へ光が向く可能性を一緒に考える必要があります。自宅の車を出し入れするときも、道路の通行や隣家の出入口との関係が生じます。こうしたことは、近所と深く付き合うかどうかとは別に、毎日の暮らしに関係します。交流を控えめにしたい家庭でも、周囲への影響までなくせるわけではありません。ご近所との関係を考える際は、人付き合いの好みとは別に、自宅の使い方が周囲へどう関わるかを確認することが基本です。
反対に、他の住宅の使い方が、自分の暮らしへ影響する場面もあります。購入前には、どちらか一方が配慮するという前提ではなく、双方が生活する場所として位置関係を見ておきましょう。敷地の広さだけでは分からない条件が、建物や庭、出入口の配置に表れています。周囲との接点を具体的に知ることが、漠然とした不安を整理する助けになります。
1-2. あいさつを交わす関係と、深い交流は同じではない
ご近所付き合いと聞くと、頻繁な訪問や行事への参加、休日の交流などを想像する人もいるでしょう。しかし、日常の関係は、会ったときにあいさつをする、必要な連絡を伝えるといった形でも成り立ちます。親しく交流することを望む家庭もあれば、私生活を大切にしながら穏やかに関わりたい家庭もあります。どちらか一方を、地域に向いている、向いていないと決める必要はありません。購入前には、自分たちがどのような関係を無理なく続けられるかを考えることが大切です。
一方で、交流を深めないことと、共同で使う場所のルールや必要な連絡を無視することは別です。工事の予定や共用施設の管理など、相手へ伝える必要のある事項は、関係の親しさにかかわらず整理しなければなりません。地域の側にも、仕事や健康状態などによって関わり方が異なる人がいることへの理解が必要です。お互いの事情を知らない段階から、同じ参加や交流を当然のものと考えないことが重要になります。近隣との関係は、深く付き合うか付き合わないかの二択ではなく、必要な連絡と私生活の距離を両立させて考えられます。
1-3. 戸建住宅とマンションでは、接点の生まれ方が違う
戸建住宅では、隣接する敷地や前面道路を通じた関係が中心になります。庭木、塀、排水、駐車など、土地の使い方と結び付く事項が多くあります。一方、マンションでは、上下左右の住戸に加え、廊下、エレベーター、駐車場などの共用部分を通じて接点が生まれます。室内での生活音や共用部分の使い方など、建物全体のルールと関係する場面もあります。どちらの住宅にも近隣との関わりはあり、住宅の種類だけで人間関係の負担を決めることはできません。
マンションでは管理規約や使用細則、管理組合の運営体制などが、生活条件を知る資料になります。戸建住宅でも、私道や共同設備の取り決めなど、書面で確認したい事項がある場合があります。地域の慣習だけを聞いて、こうした管理や権利の問題まで把握したつもりにならないことが大切です。自分たちの生活でどの場所を使い、誰と調整する場面があるかを考えると、確認事項を整理しやすくなります。戸建住宅かマンションかという分類より、生活の中で何を共有し、どこに調整の接点があるかを見ることが重要です。
1-4. 暮らす時間帯の違いが、気になることを変える
同じ住宅地でも、昼間に家で仕事をする人と、日中は外出している人では、感じる環境が異なります。夜勤のある家庭では昼間の休息が重要になり、子どものいる家庭では夕方の出入りが増えることもあります。近隣の暮らしも同様で、すべての家庭が同じ時間に静かに過ごすとは限りません。生活時間が違うこと自体を、相手の問題として捉えないことが大切です。そのうえで、自分たちが特に配慮を必要とする場面を具体的に考えます。
実務上想定される例として、平日の昼に内見した住宅が、夕方には送迎や帰宅する車で人の動きが増える場合があります。それが負担になるか、生活感のある環境として受け止められるかは、家庭によって異なります。購入前には、静かかどうかという大きな問いだけでなく、いつ休み、いつ働き、どの時間に車を使うかを重ね合わせましょう。家族の現在だけでなく、在宅勤務や進学などによる変化も考える余地があります。近隣環境との相性は、地域の印象だけでなく、自分たちの生活時間と周囲の動きを重ねて確認することが大切です。
第2章:購入前に確認したいこと――うわさより現地と具体的な情報を見る
2-1. 時間帯を変え、普段の生活に近い条件で訪れる
一度の内見で分かるのは、その時間に見聞きできた範囲のことです。休日の午前中に静かだったからといって、平日の夕方も同じとは限りません。可能な範囲で時間帯を変え、通勤や買い物など実際の生活に近い動き方で周辺を確認すると参考になります。夜の明るさ、車の通り方、道路でのすれ違いなどは、昼の内見とは違う情報になります。すべての時間を調べることはできませんが、自分たちにとって重要な場面を優先することはできます。
現地確認では、公道などから通常見聞きできる範囲を基本にします。近隣の敷地へ入ったり、窓の中をのぞいたり、特定の人の行動を追ったりする必要はありません。確認したいのは住民の私生活ではなく、その場所での暮らしに関係する環境です。短時間で見た出来事を、日常的に繰り返されていることと決めつけない姿勢も重要になります。現地では、相手の暮らしを探るのではなく、自分たちの生活に必要な時間帯・動線・環境を確かめることを意識しましょう。
また、近隣の住宅が新しいか古いか、庭が整っているかといった外観だけで、住んでいる人の性格や関係の良し悪しを推測しないことが大切です。見た目から確認できるのは、あくまでその時点の物の状態です。気になる点があれば、購入する住宅へどのように関係するのかを具体化します。印象と事実を分けることで、過大な不安や思い込みを減らせます。
2-2. 窓・庭・駐車場の配置は、日常の距離感に関係する
近隣との相性を、人柄だけで考える必要はありません。居間の窓同士が向かい合っている、寝室の近くに隣家の駐車場所がある、庭と玄関の動線が近いといった配置も、暮らしの感じ方に関係します。特定の人に問題がなくても、視線や音が気になる位置関係はあり得ます。反対に、適度な距離や遮りがあることで、私生活を保ちやすくなる場合もあります。建物の配置は、購入前に確認しやすい条件の一つです。
室内では、普段使う位置から窓の外を見て、目線の高さや見通しを確かめます。庭や駐車場では、自分たちの動作が相手側へどう向くかも考えてみましょう。カーテン、窓の使い分け、照明や植栽の調整など、住宅側で対応できることもあります。ただし、目隠しを設ける場合は通風や日当たり、工事費、境界なども確認し、何でも自由に解決できるとは考えないことが大切です。ご近所との距離感は、人間関係だけでなく、窓や庭、出入口の位置によっても変わるため、住宅の配置から確認しましょう。

2-3. 売主や地域へ尋ねるときは、人の評価より活動や出来事を聞く
売主へ「近所に困った人はいませんか」と尋ねても、買主が判断に使える情報が得られるとは限りません。人の感じ方には違いがあり、同じ出来事でも受け止め方が変わるためです。それよりも、ごみの出し場所、清掃の当番、工事の連絡方法など、具体的な事項を聞く方が生活を想像しやすくなります。過去に調整したことがあれば、何について、どのような話し合いをしたかを確認します。人物の評判を集めることと、住宅の条件を調べることは分けましょう。
地域の人に尋ねる場合も、必要な質問を絞り、相手の時間やプライバシーへ配慮することが大切です。職業、家族事情、健康状態など、購入判断に必要のない個人情報まで求めるべきではありません。また、一人から聞いた話が地域全体の事実や総意とは限らず、伝聞をそのまま確定情報にしない注意も必要です。規約や活動案内、自治体の資料などで確認できる内容は、そちらも照合します。聞き取りでは、近隣住民の人物評価ではなく、生活に関係する活動・費用・具体的な経緯を確認することが重要です。
2-4. 過去のトラブルは、内容・現在の状況・資料を分けて確認する
売主が近隣との問題を把握している場合には、仲介会社へ具体的に伝え、買主の判断に関係する情報を整理することが重要です。ただし、意見の違いが一度あったことと、継続して生活に支障が出ていることは同じではありません。何が起き、いつ話し合い、現在はどうなっているかを分けて確認します。相手を悪い人と表現するだけでは、買主は問題の性質を理解できません。書面での合意や連絡記録がある場合は、その内容も確認の手がかりになります。
近隣問題に関して、どのような説明が必要か、契約上どのように評価されるかは、出来事の内容や影響、契約条件などによって異なります。うわさを聞いたから必ず購入をやめるべきとも、売主が問題ないと言うから確認不要ともいえません。売主が知っている事実と、把握していない事項を区別し、重要な点は仲介会社を通じて調べます。法的な判断が必要な場合は、法律の専門家へ相談することになります。近隣トラブルの確認では、主観的な評価を広げるより、具体的な事実と現在残っている課題を整理することが大切です。
購入後に人間関係が変わることまで、売主や仲介会社が保証できるわけではありません。調査できる範囲と限界を理解し、残る不確実性も含めて購入を判断します。一方で、確認できる問題を「住んでみないと分からない」で済ませる必要もありません。資料や出来事に基づいて調べられる事項は、契約前に整理しておきましょう。

第3章:地域のルールと共同の負担――加入・管理・費用を混同しない
3-1. 自治会・町内会とマンション管理組合は異なる
自治会や町内会は、地域の住民が自主的に組織し、防犯、清掃、親睦などの活動を行う団体です。一般に加入は任意であり、地域の活動内容や参加方法を確認して考えるものです。一方、マンション管理組合は、区分所有者全員で構成され、建物や敷地、附属施設の管理を担う団体です。住宅を所有した際の管理組合の一員としての立場と、自治会への参加は同じではありません。名称や集金の方法が近くても、目的と根拠を分けて理解する必要があります。
この違いを理解しないと、自治会へ入らない選択をしたからマンションの管理費も払わなくてよい、といった誤解につながります。また、地域との交流の費用と、共同の建物や土地を維持するための費用が、一つの言葉で案内される場合もあります。支払うお金があるなら、何の費用で、誰が決め、どの根拠に基づくものかを確認しましょう。判断が難しいときは、管理規約や契約などを見ながら説明を受けることが必要です。自治会・町内会への関わりと、所有者としての建物・土地の管理負担は、別の事項として確認することが重要です。

3-2. 会費だけでなく、当番や役員の決め方まで聞く
地域の活動が気になる場合、月々の会費だけを尋ねて確認を終えないことが大切です。清掃や防災活動の頻度、当番の範囲、役員の任期や選び方など、時間に関係する事項もあります。活動の多さが魅力になる人もいれば、勤務時間や介護などの事情で参加が難しい人もいます。どちらの立場も、内容が分からなければ判断しにくいものです。年間の予定や活動案内などがあれば、日常の生活と重ねて確認できます。
役割を担うことが難しい場合の相談方法も、地域によって異なります。福岡市の地域コミュニティに関する案内でも、活動や役員の決め方には地域ごとの違いがあることが示されています。売主が以前担当した回数だけで、今後の自分たちの負担まで決まるとは限りません。可能であれば、現在の運営方法と、事情がある場合の対応を確認しましょう。地域活動の負担を考えるときは、会費の額に加え、時間・役割・相談の仕組みを具体的に知ることが大切です。
なお、参加の仕方を考える際には、できない理由を近隣の人へ細かく開示し続ける必要はありません。必要な相手へ、参加できる範囲や相談したい内容を簡潔に伝える方法もあります。加入や活動への関わりを一度決めたら、家庭の事情が変わっても同じ対応を続けなければならないと考えすぎないことも大切です。無理なく継続できる形を、実際の運営に沿って確認しましょう。
3-3. ごみの出し方は、自治体のルールと場所の管理を確認する
ごみ出しは、入居後すぐに必要になる地域の生活条件です。分別や収集日だけでなく、どこへ出すか、集積場所を誰が管理するか、清掃などの取り決めがあるかを確認します。以前の住まいと同じ方法だと思い込むと、悪意がなくても行き違いが起こることがあります。また、自治会などの活動とごみの収集制度を一括りにせず、自治体の案内と場所の管理方法を分けて調べることが大切です。利用に関して不明点がある場合は、自治体の担当窓口へ確認します。
例えば福岡市では、戸建住宅は原則として家の前、集合住宅は決められた集積場などへ出す仕組みが案内されています。ただし、収集車両が通れない場合などには別の指定があり、市内でも物件による確認が必要です。他の自治体では収集の時間や方法が異なるため、「福岡県内なら同じ」とは考えないようにしましょう。中古住宅の購入では、売主が利用している場所とその経緯を聞くことも手がかりになります。ごみ出しは地域の印象で判断せず、購入する住宅の収集方法と利用場所、管理上の取り決めを具体的に確認することが必要です。
3-4. 私道や共同設備の負担は、親しさとは別に整理する
住宅地によっては、私道、排水設備、共同の照明など、複数の所有者や利用者が関わる施設があります。日常は問題なく使えていても、補修や更新が必要になった際に、費用や手続きが課題になることがあります。こうした事項は、地域の人と仲良くすれば解決するという性質のものではありません。所有や利用の権利、管理方法、費用負担などを資料で確認する必要があります。口頭で長く続いている取り決めがあるなら、その内容と承継の扱いも調べましょう。
また、災害時の声掛けや見守りなど、地域のつながりが心強さになる場面もあります。ただし、それを特定の人から必ず支援を受けられる保証として考えることはできません。避難先や連絡方法は自分たちでも確認し、地域の活動があれば無理のない範囲で理解を深めます。共同施設の維持に関する具体的な負担と、住民同士の支え合いへの期待を分けることが重要です。土地や設備の権利・費用は書面などで確認し、近隣との良好な関係だけを管理の根拠にしないことが大切です。

第4章:入居後の関係づくり――配慮と私生活を両立させる
4-1. 最初の連絡は、必要なことを簡潔に伝える
入居時のあいさつは、必ず一定の方法で行わなければならないものではありません。住宅の形や生活環境、安全面などに応じて、無理のない方法を考えます。顔を合わせたときに簡潔に伝えることもあれば、マンションで管理員などへ入居に必要な連絡をすることもあります。近隣に伝えたいのは、誰が何人でどのような生活をしているかという詳細より、引っ越しや工事で影響する予定です。最初から私生活の情報を多く開示しなければ、良い関係を築けないというものではありません。
引っ越しやリフォームでは、作業時間、車両の停車、騒音などが周囲に関係します。施工者や引越し業者と段取りを確認し、必要な連絡や使用手続きを行いましょう。マンションでは管理規約などの定めがある場合があり、戸建住宅でも私道や道路の利用について調整が必要になることがあります。あいさつを済ませたから、予定外の迷惑やルール違反まで了承されたと考えてはいけません。入居時は、親しくなることを急ぐより、周囲へ影響する予定を具体的に伝え、必要な手続きを整えることが大切です。
4-2. 音やにおいなどは、相手だけでなく自分の側も確認する
生活音、庭での活動、ペット、喫煙などは、住宅地で認識の違いが起こりやすい事項です。自分にとって普通の音やにおいでも、窓の位置や時間帯によって他の住宅では気になる場合があります。反対に、相手にはこちらへ届いていることが分からないこともあります。何かを感じたときに、直ちに悪意や性格の問題へ結び付けないことが大切です。まず、いつ、どこで、どのような影響があるかを整理します。
自分の側でも、室外機や照明の向き、早朝や夜間の作業、駐車の仕方などを確認できます。子どもやペットについても、本人たちの楽しさだけでなく、道路の安全や敷地への立入り、共用部分のルールを考えます。配慮は必要ですが、通常の生活を完全に無音にすることまで求められるわけではありません。実際の程度や継続性、時間帯などを見ながら、具体的に調整できることを探す姿勢が重要です。生活上の行き違いは、相手の人柄を決めつけるより、影響する場所・時間・行動を具体的にして考えることが役立ちます。
一方で、配慮を続けることと、私生活へ無制限に立ち入られることを受け入れるのは別です。答えにくい質問や参加できない誘いには、必要な範囲で穏やかに意思を伝えて構いません。相手にも同じように断る自由や事情があることを尊重します。近隣への配慮と、互いの生活の領域を守ることを両立させましょう。
4-3. 困り事が生じたら、事実を記録して相談先を選ぶ
気になることが続いた場合は、感情だけで話を進めず、日時、場所、状況を可能な範囲で記録すると整理に役立ちます。記録は、相手の私生活を追跡するためではなく、何に困っているかを説明するためのものです。マンションの共用部分や使用ルールの問題であれば、管理組合や管理会社へ確認する方法があります。戸建住宅でも、ごみ、工事、設備など、問題の内容に応じた窓口を選びます。相談先がすべての問題を解決できるわけではないため、何を確認したいかを明確にすることが大切です。
生活騒音などは、自治体が直接規制や解決をできる範囲が限られる場合もあります。法的な権利や費用の争いになっている場合には、法律相談などの利用も考えます。脅迫や身の危険を感じる行為がある場合は、近所付き合いの問題として抱え込まず、警察などへ相談する必要があります。直接の話し合いが安全かどうかも含め、状況に応じて対応を選びましょう。近隣の困り事は、内容を具体的に記録し、管理・行政・法律・安全のどの問題なのかを分けて相談することが重要です。
相手の実名や住宅の写真を、感情のままインターネットへ広めることは避けたいところです。事実関係の確認を難しくし、別の問題へ広がる可能性があります。解決のために必要な相手へ、必要な範囲の情報を伝えることを基本にします。関係を守るために何も言えない状態になることも、対立を急いで大きくすることも避けましょう。
4-4. 完璧な人間関係より、確認できる条件で購入を判断する
購入前に、将来も一切の行き違いが起こらない地域を見つけることはできません。住民の入れ替わりや家族の変化があり、自分たちの生活時間や希望も変わります。内見時に感じのよい会話ができたことは参考になりますが、それだけで長期の暮らしを保証するものではありません。反対に、あいさつを交わせなかったことだけで、住みにくい地域だと判断する必要もありません。一時的な印象に判断を寄せすぎないことが大切です。
判断の中心に置きたいのは、住宅の配置や動線、地域活動の内容、共同の費用、確認できた問題と対応です。自分たちに必要な条件と、調整できる条件を家族で共有すると、何を重く見るかが明確になります。売主や仲介会社も、人柄の保証ではなく、調査で確認できた事項を具体的に伝えることが重要です。大きな未確認事項が残る場合は、契約前に調査や合意を整えてから判断しましょう。住宅購入では、理想のご近所を保証してもらおうとするより、確認できる生活条件と、自分たちが許容できる範囲を明確にすることが大切です。

まとめ
家を買うときに、ご近所付き合いが気になるのは自然なことです。長く暮らす住宅だからこそ、落ち着いて過ごせるか、地域の活動に無理なく関われるかを考えたくなります。ただし、人との相性や将来の関係を、購入前にすべて確かめることはできません。調べるべき事項を広げすぎるより、生活に直接関係する条件から整理することが重要です。ご近所付き合いの確認は、人の評判を集めることではなく、その場所での暮らしと自分たちの生活が合うかを確かめることから始まります。
まず、あいさつや交流の距離感と、土地や建物の管理に関する事項を分けて考えましょう。親しく付き合うことを望む家庭も、静かに私生活を保ちたい家庭もあります。一方で、ごみの出し方や共用部分の使い方、私道の管理などは、交流の好みとは別に確認が必要です。自治会・町内会とマンション管理組合も、役割や所有者との関係が異なります。まとめて「地域の決まり」と受け取らず、何のルールで、誰が管理し、どのような負担があるかを具体的に理解することが大切です。
現地では、時間帯と住宅の配置を意識すると、暮らしを想像しやすくなります。自分たちが休む時間、仕事をする場所、車を使う時間などを重ねて考えます。窓の向き、庭の位置、駐車場や出入口の関係は、人柄を推測しなくても確認できる条件です。カーテンや照明などで調整できる場合もあれば、位置関係として受け入れる必要がある場合もあります。購入後に変えられることと、変えにくいことを分けて判断しましょう。
聞き取りでは、人物の評価より具体的な活動や出来事を確認します。会費、清掃の頻度、役員の決め方、相談方法などが分かれば、家族の事情と合わせて考えられます。過去の近隣問題がある場合は、何が起き、どのように対応し、現在何が残っているかを整理します。伝聞と確認できた事実を分け、必要な資料があれば仲介会社を通じて確認することが大切です。近隣住民の私生活を詳しく知ることが、住宅の調査になるわけではありません。
売主側は、把握している取り決めや具体的な経緯を共有し、知らない事項まで問題がないと保証しないことが重要です。買主側も、特に気になる生活条件や将来の使い方を伝えると、必要な調査を進めやすくなります。法的な説明や責任の範囲は個別の事情によって異なるため、重要な問題を印象だけで片付けないようにしましょう。同時に、住民の入れ替わりなど将来の変化まで固定できるわけではないことも理解する必要があります。確認できる事項を丁寧に整える姿勢が、双方の認識の違いを減らします。
入居後は、深い交流を急ぐより、必要な連絡と日常の配慮を大切にするとよいでしょう。引っ越しや工事で影響する予定を伝え、音や光、におい、車の使い方などを自分の側でも確認します。私生活の情報を過度に開示したり、無理な参加を続けたりする必要はありません。困り事が生じたときは、状況を具体的に記録し、問題に合った相談先を選びます。配慮することと、具体的な支障をそのまま受け入れることは分けて考えることが大切です。
住宅地で暮らすことには、自分だけで使う空間と、周囲と関係する空間の両方があります。その中で快適な距離感をつくるには、相手へ一方的な期待を持たず、自分たちの希望や限界も理解しておく必要があります。活発な交流を楽しむ暮らしも、あいさつを交わしながら静かに暮らす形も、それぞれに価値があります。大切なのは、誰とでも親しくなることではなく、互いの生活を尊重しながら、自分たちが無理なく暮らせる条件を選ぶことです。 間取りや価格と同じように、周囲との接点も具体的に確認することが、納得できる住宅購入につながります。
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